作曲家、プロデューサー、音楽理論家、そしてアンビエント・ミュージックの先駆者としても知られている鬼才ブライアン・イーノ。弊社ではこれまでもジョン・ハッセル＆ブライアン・イーノ『第四世界の鼓動』(INR-889)、ララージ produced by ブライアン・イーノ『アンビエント３ 発光』(INR-9038)などをはじめとするイーノ関連作品を多数リリースしてきました。そして今回、再び彼のプロデュース作品が登場。1981年のオリジナル・リリースより約40年ぶりの世界初リイシュー、ガーナ出身のハイライフ／アフロ・ファンク・バンド、エディカンフォの幻の名盤『ザ・ペース・セッターズ』のご紹介です！ 1979年に結成された８人組大所帯バンド、エディカンフォ。デビュー以降は首都アクラの有名クラブ〈ナポレオン・クラブ〉でのパフォーマンスに加え、３ヶ月に一度という定期的な国内ツアーも行なっていました。そんな彼らの持ち味は、ハイライフ、アフロビート、アフロ・ファンクを融合させたドライヴ感溢れるダンサブルなリズムと、タイトで分厚いホーンセクションによるガーナ色の強いサウンド。その当時のアクラ・クラブ・シーンではディスコ・サウンドとレゲエをメイン・パフォーマンスとした小編成のバンド・サウンドが流行していましたが、キャパシティの小さなクラブよりもスタジアム級の広い会場でのパフォーマンスを得意としていた大所帯バンドの彼らは、周囲とは一線を画したユニークな存在として認識されていたようです。こうして彼らが頭角を表し始めていた80年代初頭、時同じくし、ブライアン・イーノはフェラ・クティを介してアフロビートに傾倒。自身がプロデュースを手掛けたトーキング・ヘッズ1980年の歴史的名盤『リメイン・イン・ライト』は大々的なアフロビートの導入が大きな話題となりました。そんな最中、西アフリカ音楽、そして〈サイケデリックなアフリカ音楽〉に対する探求と普及を公言していたイーノが強く興味をひかれ、白羽の矢を立てたのがこのエディカンフォだったのです。 本作でイーノは現地感が削がれることのないよう配慮し、アクラのレコーディング・スタジオでメンバーたちと共同作業。ギター／ベース／ドラム／ピアノ／シンセサイザーに加え、テナー・サックス／フリューゲル・ホルン／トランペットなどの管楽器、さらにコンガ／トーキング・ドラムをはじめとするパーカッションなど、実に様々な楽器が使用されています。メンバー全員が優れたグルーヴ感覚を持つ演奏者であるのみならず、歌心あるヴォーカルと歯切れのいいコーラスも実に快感。ハイライフ／アフロファンクなどのガーナらしいサウンドを主軸に、当時流行のディスコ・ミュージックやジャズなどの要素も導入されていますが、曲全体のまとまりが非常に良いせいなのか不思議と古さを感じさせません。また、1981年のイーノ・プロデュース作品ということだけあり、どこか1980年初期のトーキング・ヘッズやブライアン・バーンのソロにも共通するようなニューウェイヴ的ニュアンスも垣間見られます。特にファンキーでダンサブルな名曲①は、70～80年代アフロ・ファンク・ファンの方、ポスト・パンク・ファンの方共に必聴！フェラ・クティはじめ、アフロビート／アフロ・ファンク／ハイライフ・ファンの方、イーノ・ファンの方には是非押さえておいていただきたい一枚です。
