アフリカ音楽の中でもっとも優雅で成熟したサウンドを持っているのは、今も昔もやはりコンゴ音楽です。フランコやタブー・レイ・ロシュローが活躍した60〜70年代、その後のワールド・ミュージックのブームの中心的存在だったパパ・ウェンバ、さらに21世紀以降ではコノノNo.1やスタッフ・ベンダ・ビリリといったアーティストらが同国から登場し話題となりました。そんなコンゴ音楽の王道をゆく“ルンバ・コンゴレーズ”の伝統をいまもしっかりと受け継いでいる女性歌手ファヤ・テスが、素晴らしい新作を発表してくれました。 タブー・レイ・ロシュローのアフリサなど、コンゴ音楽のビッグ・ネイムとも関わってきたことで知られるファヤ・テスは1966年にコンゴ民主共和国の首都キンシャサで生まれました。エンジニアを目指し勉学に励むも、後にルンバ・コンゴレーズに魅せられて方針転換。1986年にタブー・レイ・ロシュローのグループ“アフリサ”に加入し、そのキャリアをスタートさせます。アフリサで10年間活動した後、2000年に“Keba”という作品でソロ・デビューし、その作品で“最優秀歌手賞”(中央アフリカ部門)を受賞するなど、数々のアウォードで活躍。一躍コンゴを代表する歌手として知られるようになりました。また彼女はヨーロッパに移り住む同胞たちに向けたコンサートやCDリリースも精力的に行っていて、ルンバ・コンゴレーズの名曲などを取り上げた「AU TEMPS DES CLASSIQUES」シリーズなどはフランスのレーベルからリリースされ話題となりました。 そんな彼女が2020年に発表したのが本作“(原題:Sublime Faya)でした。ここではコンゴを代表するベテラン・ギタリストのニボマがアレンジやコーラスで参加。ニボマは1969年に16歳でプロ・デビューし、フランコの弟子筋にあたるヴェルキスの元で修行、その後“アフリカのブエナ・ビスタ”と呼ばれたプロジェクト“ケケレ”で活躍したことでも知られています。また、パパ・ウェンバ作品にも参加していたアレクシス・アズリーナやアフリサで活躍したカエン・マドカもギタリスト/アレンジャーとして名前を連ねています。さらにほとんどの作曲を担当しているのは、ニボマの最新作“Lifondja”でもコラボしているシピ・ウマンデで、ルンバ・コンゴレーズの黄金時代を彷彿とさせる優雅なサウンドをここに構築してくました。もちろん一番の聴き所はファヤのふくよかなで軽快なヴォーカル。ルンバ・コンゴレーズが持つトロピカルな雰囲気にピッタリの歌声をアルバム全篇で楽しませてくれます。 新年早々、最高に乗れるアフリカン・ヴォーカル・ミュージックの登場。是非期待してください。
●日本語解説/帯付き
(メーカー・インフォより)
曲目表:
1. Judoka 2. Francis smalto 3. Dribbleur 4. L'homme 5. Ba Dinosaures 6. Je vis ma vie 7. Boma Libala 8. Bosana Nga