ポルトガル音楽ファドのシーンを長年牽引してきた男性歌手カルロス・ド・カルモ。“ファド界のドン”とまで称された彼でしたが、2021年1月1日に81歳で亡くなられました。そんな偉大なファディスタを偲び、ライス・レコードからは彼の遺作となってしまった2020年作をリリースすることで、その追悼といたします。 カルロス・ド・カルモは1939年12月21日リスボン生まれ。彼の母は伝説的なファディスタとして知られるルシーリア・ド・カルモ(1919−98)、そして父アルフレッド・デ・アルメイダはカーザ・ド・ファドの経営を含む実業家として活躍した人物でした。そんな彼のファド歌手としてのスタートは1963年で、当時すでに世界的な名声を得ていたアマリア・ロドリゲスが築いた“ファド=女性歌手”というイメージを少しでも覆すが如く、クロスビーやシナトラに代表されるクルーナー唱法をファドに持ち込み、その独自性を確立してゆきました。そして1968年に‘Por morrer uma andrinha’をヒットさせてスター歌手の仲間入りを果たし、70年代にはユーロヴィジョン・ソング・コンテストに出場するなどして世界的な人気も獲得。後年はファド大使としてその啓蒙活動に取り組み、またマリーザやカマネーといった後継者の育成をサポートするなど、現在のシーンを支えた父親のような存在でした。 そんなカルロス・ド・カルモが晩年の3年間にしたためてきた録音をまとめたのが、本作『エ・アインダ…』です。もちろん本人は最後の作品となることは想定していなかったはずですが、ポルトガル・ギターには現在最高峰の演奏家ジョゼー・マヌエル・ネトを迎え、さらに新旧の実力あるファド詩人/クリエイターが楽曲を提供するなど、現在考え得る最高の布陣で制作されました。さらに彼の生誕80年をお祝いして開催された2019年11月のリスボン公演を収録したCD2“Obrigado!”は彼の代表曲を交えた集大成的内容。スタジオ録音と同じ豪華なメンバーが伴奏を担当して彼の最後のライヴ・パフォーマンスを見事にサポートしてくれました。 本作でファディスタとして有終の美を飾ったカルロス。ファド・ファンなら必ず持っていて欲しい逸品です。
●日本語解説/帯付き
(メーカーインフォより)
曲目表:
CD1「スタジオ録音」 1. Fado Zé - Introdução 2. Mariquinhas.Com 3. Sombra 4. Canção De Vida 5. Poemas Canhotos 6. Bem Disposto, Então Vá 7. Jogo Do Lenço 8. Canção 9. Fado Zé - Fecho
CD2「ライヴ」 1. Introdução 2. Vim Para O Fado 3. Intro Gaivota 4. Gaivota 5. Canoas Do Tejo 6. Duas Lágrimas De Orvalho 7. Estranha Forma De Vida 8. Pontas Soltas 9. Estrela Da Tarde 10. Os Putos 11. Olhos Garotos 12. Medley Instrumental 13. Um Homem Na Cidade 14. Bairro Alto 15. Mariquinhas.com 16. Fado Dos Cheirinhos 17. Fecho 18. O Cacilheiro 19. O Homem Das Castanhas 20. Lisboa, Menina e Moça
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