フランスの中のケルト文化圏として有名なブルターニュ地方の音楽を研究するトラッド・フォーク歌手エリック・マルシャンが率いるクロスオーバー・バンド『KREIZ BREIZH AKADEMI』の3枚目。1曲目のグランジロックを思わせる歪んだ重低音と乾いたホーンセクションから壮大な物語の幕開けを感じさせます。そして本作ではアコースティックにこだわることなく、エレキサウンドの導入とサウンドエフェクトの導入もあえて行われており、その導入の仕方に過剰なところがなく、彼がブルターニュのトラッドをこよなく愛しつくしていることがそういうところからも伺われます。ブルターニュのトラッドをジャズやインプロの観点から哲学的に再構築していく、という本人達のコンセプトを無理に理解しようとしなくてもこれだけ芳醇なリズムやメロディーに導かれた本作品は単純に楽しめるのでは。彼の作品には共通していますが、どことなく翳りのある全体像はいつもどおりですので、オルタナティブでストイックでマイナーな曲調が基本的に好きな私のようなタイプの方には強くオススメします。
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