かの『うまし国オクシタニア12のレシピ』（2006年）から6年、ベアルネ地方のアヴァンなオクシタン・アーチスト、ジョアン・フランセス・ティスネの新作は『トランスポール・ティスネ』という架空の運送会社による、時空間移動（別の言葉で言えば「トリップ」）をテーマにしたイマジナリー・フォークダンス曲集。題名がクイックシルヴァー・メッセンジャー・サービスやジェファーソン・エアプレインのような60年代サイケデリックの匂いがするのですが、サウンド的には何の関連もないものの、このアルバムのトリップ感はアシッドです。薬物ではなく、トリュフと思って間違って口にしてしまったガスコーニュのある種のキノコの効果のような。ベアルネ地方のエクスペリメンタル・トラッドのバンド、ファミリア・アルチュス(Familha Artus)の録音スタジオで、ファミリア・アルチュスのメンバーと、ティスネの長年のパートナーであるジャケス・エモニノ（vocal、guitar、編曲プロデュース）が録音した16曲（加えてリミックス4トラック；全20トラック）のアルバム。ピレネー山中の羊飼いによる羊の群れの移動から、この運送会社の仕事は始まり、トラック、自転車、徒歩（飛脚か？）、汽車、飛行機（CRANE AIRWAYS)などの時空間移動を、ミュージック・コンクレート、ティスネの民謡ヴォーカル、和音ポリフォニー、不協和音ポリフォニー、ギター、打楽器、多重録音、各種エレクトロニクス、コンピュータ・プログラミングを駆使して創造した「トランスポート・フォークダンス・ミュージック」。“アシッドをきめたLO COR DE LA PLANA“のようなポリフォニー曲が、とりわけ興味深い効果を実現しています。
曲目表：
1. AMONTANHADA 1 (PRELUDI) 2. AU COR DE LA MATERIA (MASURCA) 3. MARCHA A PE 2 (RONDEU A DUS) 4. EMPENSAT (BRANLO EN CORDA REGULAR) 5. AU VENTE DE LA VACA (SAUT) 6. EN CAMION (RONDEU EN CADENA IRREGULAR) 7. MARCHA A PE 3 (ESCOTISHA IRREGULARA) 8. A BICICLETA (VALSA) 9. AUS PUNTS CARDINAUS (SAUT MULTIPLE) 10. EN AUTOMOBILA (CONGO) 11. MARCHA A PE 12. (BRANLO EN CORDA IRREGULAR) 13. LA CORRUDA (RONDEU EN CADENA REGULAR) 14. CRANE AIRWAYS (BRANLO EN COPLE) 15. EN TRIN QUE'S POT (POLCA) 16. A BICICLETA 2 (RONDA BARADA IRREGULARA) 17. AMONTANHADA 2 (POSTLUDE) BONUS 17. AU VENTE DE LA VACA REMIX (SAUT) 18. MARCHA A PE 3 REMIX (ESCOTISHA) 19. CRANE AIRWAYS REMIX (BRANLO EN COPLE) 20. AMONTANHADA 2 REMIX
