インディペンデント・ミュージック・シーンが急速な成長を遂げ、魅力的な実力派アーティストたちが続々と誕生している昨今のインドネシア。高い音楽水準を維持し続ける同シーンから、今回も超実力派アーティストをご紹介します! 今回ご紹介するのは1999年、ジョグジャカルタで結成されたサイケデリック・ロック・バンド:バンクタマン(「公園のベンチ」という意味)。デビュー時より現在に至るまで、60〜70年代英米のフラワー(ソフトなサイケデリック)・ポップ/ロック、そして70年代インドネシア・ジャズ・ポップからの影響を反映させた独自のサウンドを構築しています。メンバーはリード・ギター兼バッキング・ヴォーカル担当のイルウィン・アルディ、ワヒユ・ヌグロホ(リード・ヴォーカル/12弦ギター/ハーモニカ)、マダヴァ(ベース/バッキング・ボーカル)というラインナップ。ここにクリスト・プトラ(ドラムズ)、トパン・ダル(オルガン/ドラムズ)というサポート・メンバーが加わります。 バンドは2003年、“Love Among the Ruins”でアルバム・デビュー。続いて2010年にリリースしたセカンド・アルバム“Ode Buat Kota”は、爽やかな60年代風フラワー・ポップ〜ロック・サウンドによって瞬く間に世間の注目を浴び、メディアも〈最もリスペクトすべきバンド〉として絶賛、全国的に認知されるようになりました。その後、2011年、2017年とEP/シングルをリリースしますが、その後2021年に至るまで、アルバム制作が行われることはありませんでした。 今回ご紹介するのは、そんな彼らが2021年にリリースしたアルバム“Dinamika”(@〜G)に、2020年リリースのシングル2曲(HI)、2021年リリースのシングル(J)を、ボーナストラックとして加え、リパッケージした1枚。冒頭はアクースティック・ギターとハミングのみというシンプルな楽曲から開始し、続くAではホーンを大々的にフィーチャーした、60年代後半サイケデリック終焉期の、ブリティッシュ・ポップ風サウンドへと展開。Bはキラキラとした12弦ギターの音色から開始し、Bの流れのまま、甘く切ないメロディー・ライン、美しいコーラス・ワークそしてリリカルなストリングスをフィーチャーしたCへと続きます。60〜70年代サイケデリック・ポップ〜フォーク〜ロック、そして70年代インドネシア・ジャズ・ポップ・ファンの方は、是非ご注目ください!