フランスを代表するワールド・ミュージック・レーベル“Buda Musique”から、新年の幕開けに相応しい新作が届けられました。インド洋に浮かぶコモロ諸島の伝統音楽の現代化を目指すグループ、ムウェジ・ワックの最新作です。 アフリカ大陸東南部マダガスカル島とモザンビークの間に浮かぶコモロ諸島。中心都市モロニが位置するンジャジジャ島のほか、ヌズワニ島、モヘリ島、マヨット島の4島がメインとなって形成されるこの諸島のうち、フランスの統治下にあるマヨット島を除く3島は独立国家コモロ連合の統治下にありますが、それらも1975年まではフランスの植民地でした。そんなコモロに暮らす人々のルーツのひとつには、インド洋を渡ってきたマレイ系の人々の存在が指摘されています。さらに10世紀ごろからはアラブ人が移住してイスラーム化が進むと共に、近隣のザンジバル島やケニアと同じスワヒリ文化が栄えるようになりました。 そんなコモロの音楽家が集まって結成したムウェジ・ワック。グループ名「Mwezi WaQ」のうち「Mwezi Wa」の部分は「〜の月」という意味で、最後にある「Q」はコモロのアラビア名「djuzru'l'Qamaru」から取られているので、総じて「コモロの月」という意味になります。元々彼らは2012年にBudaからリリースされた“Chants de lune et d'espérance”(月と希望の歌)という作品のために作られたプロジェクトで、今回は10年ぶりの復活ということになります。コモロのアート・シーン全般を代表するソウフ・エルバダウィ(1970- )によるヴォーカル&コンポーズ&ディレクションを中心に、ギター、サズ、ドラムズ、パーカッションといった楽器でバンドを形成。さらに曲によってチェロやサックス、バラフォンなどが加わったそのサウンドは、海洋性のコモロ音楽らしく陽気かつ爽やか、そしてレゲエ・ビートも含むダンサブルなテイストに溢れています。 “忘れられた大衆に捧げるアルバム”として制作された本作では、コモロの厳しい日常生活や歴史を歌った歌を、現代的な楽器を用いて表現した内容。コモロの結婚式において披露される伝統的な演説「シンドゥワンツィ」 (shinduwantsi)に触発されたという「生の言葉の伝統」を取り上げるなど、同島の深い伝統文化を紹介しています。さらに1970年から2000年の間にコモロ音楽シーンを盛り上げたアーティストたちへオマージュも捧げていて、過去のヒット曲のカヴァー7曲を含む14曲(+リミックス1曲)で本作は構成されています。 虐げられてきたコモロの人々の苦しい心情(=ブルース)を、希望溢れるサウンドで表現した彼らの音楽に是非耳を傾けてください。
●日本語解説/帯付き
(以上、メーカー・インフォより)
曲目表:
1. Ya ngaya 2. Mwana djini 3. Ankipwa 4. Komoro 5. Kondro 6. Maji ya limbi mtsanga 7. Mavuza landa 8. Heya djuwu dja nyora 9. Si wadje 10. Undroni blues 11. Sariko 12. Mkolo 13. Ngayo ha ngayo 14. Hale 15. Radio mix